私の父は、教師だった。私の妹も教師だった。そして、私の妻も教師で、妻の両親、義弟も教師である。わが家で教師でないのは、私と妻の妹だけという教師一家だ。
そういう私も、ご他聞に漏れず、教師を目指していた。ただ、それを目指したのは、高校3年の夏からだから、受験に失敗し、今に至っている。
だから、私は、教育に関する専門家ではない。人に教える、人を育てるという教育について、私は素人である。教師一家に生まれ、育ち、私の教育に関する考え方の多くは、彼らから与えてもらったものである。
だが、私は、教育の専門家ではなく、経営者だ。学校教育のあり方について、議論するつもりはない。私は、経営者として、組織をどのように率い、社員をどう育てて幹部に抜擢し、幹部達に経営指南することである。
学校教育と企業とは違うが、共通点は、人ということである。人の成長を促すために、どうすべきか、この点は一致する。
私が考える人の育て方は、”環境が人を育てる”の一点である。この考えは、わが家の子供たちにも当てはめている。
私は、環境が人を育てると信じている。親や、教師や、上司が、人を育てるために行うことは、環境を用意することである。環境を整備することである。これが私の教育の考え方である。
環境が整備できなければ、どんなことを言っても、心に響かない。
教室の中に、ゴミが落ちたまま授業をしていれば、床にゴミを捨てることに罪悪感がなくなる。そんな教室で、教師が口先だけゴミを捨てるなと言ってもゴミはなくならない。
学校の中で、児童が廊下ですれ違っても「おはよう」と挨拶をしない教師が一人でもいれば、誰とも挨拶をしない子供達が増える。たった一人の挨拶のできない教師がいるという環境の中が生まれれば、どんなに他の教師が挨拶をしましょうと声高に叫んでも浸透しない。
だから、環境を作るというのは、言うより考えるより大変なことなのである。
環境が良ければ人が育つ。環境が悪ければ、人は悪くなる。だが、環境とは、初めからあるものではない。作り上げて、改善して、終わることのない修繕を続けなくては、黙っていればすぐに環境が悪化する。
企業でも同じだ。
朱に交われば朱に染まる。この言葉は、端的に組織環境を言い表している。職場環境が悪ければ、人間関係も悪化する。人間関係が悪化した職場では、事業成果も低迷する。
私が考える環境の中のひとつに、仕事というものがあてはまる。
営業が良い仕事を取ってくれば、技術者は育つ。技術者が確実に仕事をしてくれれば、営業はもうひとつ上の仕事が受注できる。上司が、部下にやりがいのある仕事を与えれば、部下は喜んで仕事をする。喜んでやった仕事は、成果が出て、部下の評価は上がる。
誰が誰にどんな仕事を与えるか、生み出すか、受け取るかで、組織は成長する。成長している組織にいると、個人の成長も促されるものである。
上司だって、組織という環境に育てられる。新人が入ってきて苦労もすれば、組織内のトラブルもある。それを解決することで、上司は育つ。与えたり、与えられたりしながら、人は変化するのだ。より良い環境が与えられなければ、やる気を失い、組織は腐敗に向かう。
良い環境が与えられれば、人は成長する。
環境が人を育てるのだ。
人間は、地球という環境の中にいる。日本人は、日本という平和な島国の環境にいる。私達の会社は、どんな風土・文化を持った環境の中にいるのか。
世の中にある全ての会社の環境は、皆違う。働きやすいか、生き甲斐はあるか、夢があるか、希望があるか、明るいか、活き活きしているか、風通しは良いか、皆違う。
その環境は、その環境の中にいる一人一人が作っている。しかし、親や、教師や、上司や、経営者は、環境を良くも悪くもできる。社員一人一人が作られてい環境は、実はたった一人のトップが、どのような環境にしよとしているのか、それで決まる。
環境が人を育てる。その環境を作るのは、トップの責任だ。
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投稿者 :堀田信弘: 2008年4月 3日 20:12
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