ピータードラッカーは、著「仕事の哲学」の中で、「不得手なことに時間を使ってはならない。自らの強みに集中すべきである」と言っている。
不得手なものを並みの水準にするには、得意なものを一流にするよりも遥かに多くのエネルギーと努力を必要とする。あらゆるものが強みによって報酬を得る。弱みによって、人は何かを成し遂げることはできない。
短所を見るより長所を見て、それを伸ばすほうが良い。私も同感である。
個々の個性を見極め、良いところを伸ばしてあげるような適材適所が行えるのが、良いリーダーであろう。
人は、誰にでも長所と短所がある。どうせだったら、多少の短所は目をつぶっても、長所で勝負すべきである。ドラッカーが言う「仕事の哲学」に、とても共感を持つ。
しかし、その考えにあえて反論しなければならないことがある。
「仕事の哲学」は、仕事に携わる心構えが書かれている。従業員も管理職も、仕事をするうえで、基本となる考えが唱えられている。
仕事に携わるといえば、当然、そこには経営者も含まれるだろう。
しかし、私が、ここであえて反論しなければならないこととは、たった一人だけ例外者がいることである。
それは、会社のトップ、社長である。
結論から言うと、社長は、不得意なことも含めて何でもできなくてはいけない。これは知らなくても良いというものはないということである。
もちろん、社長も人間である。人間である以上、弱点も利点もある。だから、厄介なのである。
ある人は、社長自身が苦手なことは、参謀を採用してそれに任せれば良いと考える。私は、この考えは否定しない。むしろ、賛同する。
しかし、厄介だという意味は、中小企業の場合、社長の得意なことは、会社の得意なことになり、社長の苦手なことは、会社の弱点となるということである。
まず、社長は、そのことを十分認識しなければいけない。
苦手だから、専門家を雇い、アドバイスをもらうのは結構である。しかし、どんなに信頼できる専門家からのアドバイスであろうとも、最終判断をするのはたった一人社長しかいない。
社長が苦手な分野では、社長自身のカラー、社長のオリジナリティが出せず、リーダーシップが取りにくくなる。この姿は、政治家が、官僚の言いなりになっているのとまさに同じである。
技術志向の強い経営者は、営業が苦手だと公言する。そのような会社では、まず営業マンが育たない。育たないから、営業力が弱い。
あるいは、営業能力の高い人を参謀に受け入れたとする。しかし、投手出身の監督と、野手バッター出身のヘッドコーチとでは、しばしば意見が対立するものである。
またあるいは、対立を避け、そのヘッドコーチの言うなりに采配を振るうと監督の存在感が薄れる。または、自分の意思でないから、その采配はことごとく失敗する。
なんてことは往々にして起きるものである。
社長の得意なことは、会社の得意なことになり、社長の苦手なことは、会社の弱点となる。これが、中小企業の鉄則である。
であるなら、どうすれば良いか。
答えはひとつしかない。
社長は、何でもできるスーパーマンになることである。
無理難題であるが、これが解答だ。現に、ワンマンと言われようが、中小企業では、豪腕で優秀で卓越したスーパーマン的な経営者がたった一人いれば成功する。
「不得手なことに時間を使ってはならない。自らの強みに集中すべきである」ということが可能となるのは、大企業の集団経営の場合である。
営業が苦手だと公言する社長は、どんなに苦手で嫌いでも、自らが営業できるようにならなければ、決して会社は成長できないであろう。
嫌いなことから逃げてはならないのが、中小企業の社長なのである。スーパーマンになれるよう歯を食いしばって目指すのだ。
それが嫌で、何かが苦手だと公言しているようでは、現状に甘んじるしかない。その会社の姿は、社長の姿そのものなのだから。
大体にして、営業ができないような人が、社長になろうなってことが大きな間違いであることを肝に銘じるべきだろう。
そういう私も、営業出身ではない。
しかし、スーパーマンになることは、そんなに容易いことではない。だから、普通の会社が多いのだ。
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投稿者 :堀田信弘: 2008年3月 5日 05:39
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