私は、昨日ベトナムから帰国した。今回は、これまでで最も厳しい一週間だった。
私は先月、あまりの遅刻、欠勤の多さに「これから1ヶ月間、たった一人でも遅刻、欠勤をした場合には規則を見直し、契約を更新する」と宣言した。「もし、1ヶ月間、全員が一度も遅刻も欠勤もしなければ、このままにする。それを守れるものから帰って良い」と宣言した。
そして、全員が約束を守ることになった。
しかし、この約束は、ほん数日で破られた。しかも、その後、半分近い人が再び遅刻した。そして、欠勤までも。
ある人は、これはベトナム人の国民性だと言う。恐らく、その通りなのであろう。
しかし、私は、国民性という理由では絶対に片付けたくない。それは、ベトナムが好きだからであり、ベトナムに発展してもらい、国際的になってほしいからである。
もし、私も、国民性だから仕方ないと認めるのなら、恐らくこの国のことは大嫌いになるだろう。なぜなら、ベトナム人でも、日本に来れば、日本の環境に合わせて遅刻もしない。しかも、わが社のベトナム人の中にも、無遅刻、無欠勤の人はいる。
問題は、それを国民性という理由の元に、許してしまう風土があるからではないだろうか。国際的になって、国際会議に出席するようなベトナム人が遅刻をするはずもないし、ベトナム人の国連職員が欠勤を繰り返して許されるはずもない。
私は、断固して、このだらしなさを正したい。そして、まだほんの少しでも私がベトナムを好きな間は、生産性の高い組織にし、国際競争力のある集団にしたいのである。
それにしても、その夢は崩れ去り、あっけなく裏切られた。
そして、私は、約束を破られたことを理由に、今度は私の約束を断行することにした。それは、二つの制度改革である。
ひとつは、時間清算による給与体系の変更である。これまで通り、十分に働いているものは影響しないが、作業時間数の少ないものは、給与が減る。自己責任を明確にした。
そして、もうひとつは、日本の勤務体制に合わせることである。日本からの仕事を受注し、日本の勤務時間に合わせることは、今の事業内容的に必須であった。そのため、日本との時差2時間を考慮し、朝7時出勤とした。そして、ベトナムの祝日は就業日とし、日本の祝日に合わせることにした。
私は、この制度を発表し、全員と契約更新するために、訪越した。
そして、朝一番、私は「皆は私との約束を破った。私は残念でならない。約束通りに規則を変え、サインしてもらう。もし、納得いかず、サインできないものは、直ぐに荷物をまとめてここから帰ってほしい」と告げた。
「サインできるものは、私のところへ来てくれ。できないものは、仕事をしないで、帰りなさい」
一時間が経った。誰も私のところに来ない。勝手に仕事を開始している。契約更新をせずに、今までの契約のままで行こうとしているのだ。
「ベトナムの労働法に従って、契約できないものは、45日後に解雇とする」と告げるが動かない。
ベトナムの日系経営者と会うと、揃ってベトナムの労働法の厄介さを指摘する。今回の私の行動も、問題だらけなのは百も承知である。訴えられても良い、全員が辞めても良いと覚悟を決めて乗り込んで来た。そんなに理不尽でわがままで、仕事をしないで、国ぐるみで遅刻欠勤を容認しなければならないような国ならば、撤退も覚悟の上だった。
ベトナムの政府は、もっと国際を知らなければダメだ。日本から見ると、中国のほうが近く、日本語のできる人も多く、しかも夢中で働く人が多い。それに比べ、国ぐるみの権利意識に強さは、同じ共産主義の中国よりも遥かに強く、労働者の働く意欲はそれほど高いと感じれらない。ならば、中国に勝るベトナムの魅力は何なのか、もっと知るべきである。
私は、仕方なく、一人一人と話をすることにした。始めは皆、全員で歩調を合わせているようである。しかし、何とか一人の説得ができ、結局全員とサインした。
二日間に及ぶ、彼らの闘争は何であったのだろうか。そして、全員と握手をし、再び一緒に仕事をしようとお礼を言った。
翌日、数名が遅刻した。その翌日もまた。今度の変更も効果はないようだ。しかし、来月の給与日には、給与が減る痛みを知り、自己責任であることに気づくであろう。
この国の国民性は、労働法がそうさせているのではないだろうか。
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投稿者 :堀田信弘: 2008年2月 9日 08:45
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