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障害者について  「活・喝・勝」


生きる・生きろ・楽しもう

私たちの車が渋滞で停止すると、年寄りや子供たちが静に車に近づいてくる。中には、小さな赤ちゃんを右手に抱え、ウィンドーガラス越しに何かをくれといった仕草をする人もいる。ダッカの街の中を走っていると、ほんの20分ほどの道程でも、このような場面に何度も出くわす。

また一人の女性が近づいて来た。五十代位のサリーを身にまとったとても痩せ細った女性だ。左手には、二十代と思われる息子の手をしっかりと握っていた。

女性は、涙を浮かべながら、息子の目を指差した。

両目とも失っている。

胸に何か込み上げるような熱いものを感じた。それでも、私は、何もしてあげられない。窓を開ければ、他の人々が一斉にやってくるからだ。

女性は、細い腕をゆっくりと振りながら、悲しそうに次に車の方に向かって行こうとする。息子は、母の手に引かれるまま、歩き始めた。その時、私には、その息子がほんの少しだけニッコリと微笑んだように見えた。

そのニッコリとした表情が、私にはあまりにも悲しく思えてならなかった。

今でも、その顔の表情が、思い浮かぶ。

今日は、私の長男が通う養護学校の文化祭が行われた。二年に一度の一大イベントである。高校生やライオンズクラブ、地域の方々の協力を得て、盛大に開かれる。今年のテーマは、「みんなひとりひとりが主役」だ。

学部毎に、ステージで歌を歌ったり、ダンスをしたり、お芝居を見せてくれた。幕が閉じる前に、主役たちの名前が紹介がされ、エンディングとなる。まさに、「みんなひとりひとりが主役」の文化祭であった。

二年ぶりに子供たちの成長の姿が見られるとあって、会場には親や兄弟だけでなく、祖父母など多くの親類が観覧に来ていた。

とても愉快なテンポ、華やかな衣装、楽しくなるリズムのステージが次々と行われる。親たちは、ビデオカメラに収めようと必死だ。親は、その愉快で軽快のテンポの音楽にのせて歌を口にする息子たちの姿を見て、嬉しい笑顔をしながら、同時に目に涙を浮かべている。

障害を持つ親にとっては、極普通のことである。嬉しさと悲しさが入り乱れ、嬉し涙なのか悲し涙のなのかもはや区別はできない。

そこには、余命何年かの子がいる。何ヶ月なのか、何年なのか、明日なのか、明後日なのか誰も知らない。目の前で笑顔を見せニコニコと踊っている姿を見ると、その笑顔の輝く眩しさと、線香花火の如く懸命に光放っているその姿は余りにも悲しすぎる。

私たちは、今、今、この瞬間、生きている。間違いなく生きている。誰も、明日死ぬことなど考えやしない。まさか事故が起きて、障害者や寝たきりになろうなって考えているはずもない。

今、今、生きている。でも、明日、本当に生きている核心はあるのだろうか。明日は、何が起きるのか。逃げ出せば良いのか。辞めれば良いのか。好きなことすれば良いのか。

ダッカの女性が、涙を浮かべながら、息子の目を指差したあの悲しそうな顔。指差されたニコニコした息子。私の心の奥に焼き付いた。私は、今、生きているのだ。生きているんだ。

その息子も生きている喜びを、ニコニコと表したに違いない。

私たちは、生きている喜びを、ニコニコと表せるているだろうか。そんな余裕など無いのだろうか。悲しいのか。辛いのか、寂しいのか。それでも、自由に生きられる環境にいるのに。

生きる、生きろ、楽しもう。たった一度の人生だ。長いか短いかは関係ない。楽しもう、生きることを。

息子が、私が撮影した文化際のビデオを見て、抱きついてきた。ニコニコしていた。

私もニッコリした。私は、私の人生を楽しむ。

最後まで読んで頂き、感謝申し上げます。

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投稿者 :堀田信弘: 2007年11月17日 15:38




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