早くこちら考えを理解できるようになってほしい、と考える経営者は多い。小さな会社では、少しでも会社の経営について理解してほしいと願い、大きな会社では、少しでも経営者と同じ気持ちで部門を統括してほしいと願う。小さな会社でも大きな会社でも、実は経営者の願う気持ちはどちらも同じなのだ。
松井証券の松井道夫社長は、「社長と副社長の距離は、副社長と新入社員の距離より遠い」ということを言っている。
この言葉は、社長になったものにしか理解することができない言葉だ。
ナンバー2である副社長は、新入社員からすれば、社長も副社長も偉大で雲の上の存在のように写る。副社長自身も、会社の幹部として、社長と同等の責任を有していると感じている。
しかし、松井社長は、雲の上の副社長と新入社員の距離よりも、社長と副社長の距離のほうが遠いと言い切る。
実は、私がこの言葉を聞いたのは、以前の会社を辞める数ヶ月前だった。当時私は、取締役として、複数ある事業所の統括をしていた。 事実上、会社全体を指揮するような立場にあった。あるビジネス雑誌で、この言葉を知った時、私は、歪んだ考えでこの言葉の意味を捉えた。
社長と副社長の距離が遠いと言うのなら、社長の責任はどれだけ大きいのか理解できなかった。自分は、 自分なりに実務を遂行していたという自負があったので、社長との距離が大きいなどということは認めることができなかった。
しかし、昨年の夏、松井社長が書いて出版されたばかりの「好き嫌いで人事」という本を読んだ時、これまでと違った考えが生まれた。 その頃の私は、どん底にいた。あと何日資金が持ちこたえられるかを考えて眠れない日々が続いていたのだ。
新しい仲間も増え、できるだけ自由な発想で、責任を持たせ仕事をさせたいと考えていた。できるだけ口を出さず、 任せた社長に一任したいとそればかり考えていた。一日も早く、好き勝手に楽しく仕事をして、責任を全うしてくれれば良いと思っていたのだ。
この気持ちは今でも変わらないし、今後も変わらないと確信している。
しかし、この時点で、社長と副社長との距離がどれだけあるか初めて理解することができた。眠れない日々が続き、毎日、 部下の給料の心配ばかりしていることは、以前の会社で実務的にナンバー2という立場で仕事をしていても、こんな想いをしたことはなかった。
この重圧、一緒に集まってくれた仲間たち家族への責任、押しつぶされそうになった。
どんなに社長と副社長との距離があるかは理解できた。どんな社長でもこんな簡単なことは恐らく物理的に理解できるだろう。 それを知った時、ほとんど社長は、こんな辛いことを少しでも理解してほしいと考える。少しマシな社長は、 少しでも社長を助けられる経営感覚を持った社員なってほしいと考えるだろう。
社長と副社長の距離は、松井社長の言うとおり、副社長と新入社員との距離よりも大きいことは恐らく正しい。社長は、 誰よりも責任は重く、最終責任者であるから、そのことを表す言葉としては、実に的を得た表現である。
私も、この距離感があることは、サラリーマン時代は理解できなかったから、正しいと思う。だが、私は、 そのことを部下に理解してもらおうという考えには理解できない。
なぜなら、それを部下が頭で理解したとしても、その距離は縮まるものでもなく、押し付けてもいけないものだからだ。もし、仮に、 その距離を縮めることが出来たとしたら、もはやその社長は、部下に社長を任せるべきだ。そうでなく部下に同じ苦痛をさせるだけなら、 同じ給与を払わなければならないだろう。
現実に、どんなに気持ちの上で責任を持つと言っても、個人保証など最終責任は物理的に社長にしか負うことはできないのだから、 それを社員に求めることは経営者として失格だと感じる。
責任を持つと言うことは、最終決断を出すこと。これは最終責任者以外に行うことはできない。 経営者と同等レベルで考えろというのは易しいが、答えを出させることはさせてはならないし、例え意見を出したとしても彼らは、 個人の財産を投げ打ってまで会社を守ろうという責任まで持つことは不可能だ。
だから、最終責任者である社長は孤独なのである。その孤独から逃れるのではなく、責任を全うするのであれば、 最終決断は自分が下すことだ。極端な言い方をすれば、それ以外の仕事なら、おおむね部下に任せることができるはず。
最後まで読んで頂き、感謝申し上げます。
感謝。 毎朝6時に社内朝礼ブログをこちらで公開しています。こちらもご覧頂けたら幸いです。
この内容に共感頂けたらこちらをクリックして下さい。ありがとうございます。
※このブログは日本最大級の社長動画サイト賢者.TVのランキングで堂々第一位となりました。
投稿者 :堀田信弘: 2006年1月27日 00:04
社長に関する議論、大変興味深いものでした。
やはり社長たる者、企業の最終責任者ですから、他の経営幹部とも決定的な距離があると私も思います。
私流に関連記事を書きましたのでトラバさせて頂きます。
それでは、また‥
投稿者 コンサルタント服部 : 2006年1月30日 23:07
http://www.hottaworld.com/mt4/mt-tb.cgi/270