雨の多い日本では建物の土壁を守るため、屋根のひさしを長くしてある。このような深い軒を持つ構造は、 世界でも類を見ない日本独特の屋根構造だ。
また、五重塔などは、屋根の上に屋根を重ねることで、”構造上不利”にも関わらず屋根が土壁を守り、 屋根がさらに屋根を守るという律儀な日本人の特性を表している。
このように屋根に屋根を重ねることを「屋上(おくじょう)屋(おく)を重ねる」という。
この発想は、日本企業の経営の世界でも、多く見られ、トップが二人いるような組織体制を表す。
このようなやり方は、伝統的な建築物の優雅さとは反し、最も経営の”構造上不利”となる百害あって一利なしの形だ。
別の言い方では、二頭政治とも呼ばれるが、私の感覚では、少し違う。
わが社でも、私は会長として代表権を持ち、別に代表権を持つ社長を置いているが、トップが二人いるという姿が悪い訳ではない。
問題は、二人の役割分担が出来ているのかと、それぞれがリーダーとして力量を持っているか否かが重要である。
ニ頭政治というのは、それぞれの役割分担が不明なまま、二人のリーダーがバラバラにリーダーシップを取ることを意味する。
組織は、指揮命令系統が二つあることに戸惑い、どちらの指示に従って良いか右往左往してしまう。
二頭政治は、リーダーの力が拮抗し、肩書き上の地位を越えて並列に並んでしまうために発生する。こういう組織の結末は分裂。
一方、屋上屋を重ねる組織とは、能力のない社長の上に、力のある会長が君臨する。屋根を屋根でかばい、 下の屋根に雨がかからないようにする。
または、その逆に、実質的なリーダーシップを取る専務の上に、名ばかりの社長のいる。一つの屋根で足りているのに、 無駄な意味のない無駄な屋根をかけている。全く意味がない。
二頭政治の並列型と違い、垂直にトップが並ぶ構成だ。こういう組織の結末は分裂。
二頭政治も屋上屋を重ねる組織も最後の結末は同じだ。
そのような組織で働いている社員は、上の二人に振り回され、一番の被害者となる。
たった二人の問題が、組織を混乱させ、崩壊させるのだ。
ピラミッド型の組織を好んだ日本企業には、どのような会社でも多かれ少なかれ同一の状況を招く危険を孕んでいる。
二頭政治を未然に防ぐには、分裂する前に分裂させることに尽きる。
例えば、営業専門会社とシステム専門会社に機能分割し、 キャノンとキャノン販売のようなお互いの違いを上手く活かせることが重要だろう。
また、屋上屋を重ねる組織にならないようにするには、権限を分割させることだ。
例えば、社長と会長がいる組織だとすれば、社長に決済権限を持たせ、会長に拒否権を持たせる。会長の決済権限はなく、 何の問題もない判断が行われている平時は何もしない。
しかし、会長の意に反する判断がされた場合には、アメリカ大統領のように拒否権を発動する。 常務と社長との役割分担のような発想ではなく、権限を分断させてしまうことが、お互いの緊張感が生まれるのではないだろうか。
とは言え、このような権限分割ができるのは、前述したような屋根を屋根でかばうような貧弱な組織ではあり得ない。そもそも、 一方の者が能力のない状態で垂直に重なっているような組織では、できないものが外れる以外には、組織にとって幸せな方法はあり得ない。
せめて、人の上に立つ者は、その下で働く者を混乱の中に巻き込んではいけない。
私自身、もし上が身を引かなければ、組織のために自ら身を引く覚悟でやってきた。だから、私が上に立った時、 どのように身を引くか常に頭に入れている。
最後まで読んで頂き、感謝申し上げます。
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投稿者 :堀田信弘: 2005年12月15日 19:17
はじめまして。
「構造改革」「機構改革」という言葉がここ2、3年一人歩きしている感があり、何のため、誰のための改革という部分が問われることなく「改革の為の改革」という印象を持たざるを得ません。
ここは原点に戻り、たとえば国民の福利厚生向上のためという目標を設定したら、その目標を実現するために、もっとも効率的で機能的な構造・機構のありかたというものをもっと詰めていくべきではないかとは感じております。
今後ともどうぞよろしくお願い致します。
投稿者 青赤クルヴァ : 2007年1月 6日 12:25
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